1.    SDSI(System Design-System Integration)の背景

システムデザインとは、システム工学、システムズエンジニアリングといった、「システムの開発、設計、運用などを合理的に行うための方法」を用いてシステムを設計することまたは、その手法のことをいう。

近年、システムの大規模・複雑化が進んでおり、設計の手戻りの増加や設計期間の長期間化などから、製品設計の見える化、効率化が求められている。 (図1)

それに対し、設計を効率化するためにシステム工学、システムズエンジニアリング手法の導入が進められているが、これらの手法は一部を除いて個別に使用され、全体を見通しながら、一つの大規模システムを最適設計するために統合された設計手法・フレームワークとなっていないのが現状である。

このことから、設計の初期段階でシステムレベルで簡易にモデル化を行い、そのモデルを元にシステム工学、システムズエンジニアリングの手法を連携させ、自動的に設計・解析・評価を行い、なおかつ、その情報を基に自動的に最適化を導出するための手法、SDSI(System Design System Integration)手法(2)を提案している。この手法は大規模複雑なシステムを人間が知覚可能なレベルで可視化し、設計・解析・評価・最適化をコンピュータに自動的に行わせることで、人間の創造力をものづくりに十分に発揮できる設計手法である。

また、この手法を具体的に実現するためのフレームワークとしてSDSI-Cubic(3)を提案している。これは個別に用いられていた設計手法を設計の自動化という観点で整理統合したもので、システムモデル(SysML)情報を入力とし、システムデザイン手法をコンピュータ上で連携させることで自動的に最適解の導出を行うデジタルデザインフレームワークとなっている。また、特徴としては高速でシステムの検討・評価が可能、最適化・CADCAE等の評価・解析手法を知らない設計者でも使用できるといったものが挙げられる。