研究室紹介


構造化デザイン講座 材料構造健全性評価学領域 (大畑研究室)



延性/脆性/疲労破壊メカニズム解明と構造性能向上のための材料開発指針構築への展開
破壊特性のTransferability評価手法の開発 −"材料特性"から"構造性能"へ−
材料特性と接合部特性および構造性能を結ぶマルチ階層相互評価システム構築への展開
新しい溶接・接合プロセスの適用拡大に向けた接合部の破壊挙動の解明と性能評価法の提案

 建築鉄骨,船舶や自動車,橋梁やパイプラインなどのインフラ構造物など,構造製品の安全性や健全性は,選択した材料の特性だけでなく,それを加工や接合してできる部材の特性が要求性能を満たすことで保証されるものである。すなわち,安全かつ高性能な製品を造りだすには,材料−部材−構造の各情報を適切に"transfer"する必要があり,「材料創成技術」と材料を加工してつなぐ「溶接・接合技術」,そして構造化のための「設計技術」を有機的に結びつける性能評価技術が必要不可欠となる。
 本研究室では,材料の性能と構造の性能を相互に結びつけ,材料を活かす構造化や逆に新たな構造化のための材料設計,すなわち材料と構造のインタラクティブな次世代設計法を実現するための性能評価手法の構築を目指した研究に取り組んでいる。



等価CTODによる新しい破壊評価コンセプト


 経済産業省基準認証研究開発事業「鉄鋼材料の破壊靭性評価手順の標準化(南二三吉教授がプロジェクトリーダー)」の成果をもとに,建造物の破壊性能評価のためのCTOD破壊靭性値の補正方法として日本発のISO規格 ISO 27306 が2009年に誕生した。この規格は,構造要素と破壊靭性試験片の塑性拘束差を補正し,小型材料試験片で求めた破壊試験結果から構造要素の破壊性能を高精度で評価可能とするもので,特に降伏比(降伏応力と引張強さの比)の高い高強度鋼に対してメリットが大きく,高強度鋼の大型構造への適用拡大に資することが期待される手法である。
 本研究室では,このような手法の有効性,適用性を最先端の破壊力学,材料強度学,数値解析技術を駆使して研究し,新しい破壊評価コンセプトの構築に取り組んでいる。

新聞掲載記事(新評価手法がISO規格に) 鉄鋼新聞 2009年6月15日

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