研究室便り

No.6 南研究室(構造化デザイン講座 構造化評価学領域)  (2013年)


旧・豊田研究室である望月研究室(プロセスメカニックス研究室)では,熱加工,機械加工,複合加工などの材料加工において,プロセスメカニックスを駆使した材料科学・プロセス物理・力学設計の融合を図り,加工プロセスシミュレーションモデルの開発とそれによる加工部特性予測,製品 対応プロダクトモデルへの展開を目指した教育と研究を行っています.


写真1:打ち上げ
【研究室の紹介】
南研究室(構造化デザイン講座 構造化評価学領域)では,材料の性能と構造の性能を相互に結びつけ,材料を活かす構造化や逆に新たな構造化のための材料設計,すなわち材料と構造のインタラクティブな次世代設計法を実現するための性能評価手法の構築を目指した研究と,そのような構造化のための評価学を修得して未来の社会基盤を支える人材の育成を目的とした教育に取り組んでいます。

【研究室メンバー】

  • 教授 南二三吉
  • 准教授 大畑 充
  • 助教 高嶋康人
  • Dr 1名
  • M2 4名
  • M1 5名(うち留学生1名)
  • B4 5名(うち留学生1名)


【現在の研究テーマ】

構造物や工業製品に生じうる損傷・破壊の特徴とメカニズムを把握し,実働下の性能・安全性向上のために,材料特性・継手性能,および,構造性能を階層横断的に評価する構造化インタラクティブ評価手法の構築を目指して,次のような研究をしています。
  • ローカルクライテリオンによる鋼構造の破壊安全性・健全性評価
  • ダメージメカニックスによるき裂の成長解析と脆性破壊への遷移限界評価
  • 材料損傷・破壊クライテリアの解明と数理シミュレーションモデルの構築
  • 材料の組織特性を考慮した延性・靱性・疲労破壊のマルチスケール評価
  • シャルピー衝撃靱性の破壊力学的評価手法の構築
  • 変形履歴を考慮した大変形繰返し荷重下での変形能シミュレーション
  • 微小領域の強度・破壊靱性評価のための微小材料試験法の開発
  • 合理的構造性能評価・靭性要求のための破壊Transferability評価手法の国際標準化
  • 中厚板構造への高エネルギービーム溶接の適用拡大のための継手性能評価
  • 強度ミスマッチ・溶接残留応力の影響を考えた高強度溶接構造の破壊性能評価
  • 高強度・高圧天然ガスパイプラインの歪ベース設計手法の構築
  • 高強度鋼溶接部の水素割れ限界評価手法の開発


最近のトピックス

<民間企業との合同研究会>

南研では,これまで2〜3年に1回のペースで,学外との研究交流活動として民間企業との合同研究会を実施しています。これまで,JFEスチール株式会社(福山),新日本製鐵株式会社(名古屋,現 新日鐵住金)にご協力いただき,のべ4回開催しました。研究会は,南先生による講演会のほか,企業から若手研究者の発表と南研の学生の発表を行い,大学内での研究会とはひと味違った研究ディスカッションの機会となっています。また,各社のご厚意で工場・研究所などの見学会を開いていただき, これらは学生にとって貴重な経験となっています。

<学生の受賞>

南研の学生が2010年以降に3件の受賞をしています。西岡亮君が溶接学会 奨学賞(2011年4月)を,庄司博人君が溶接学会 奨学賞(2010年4月)と自動車技術会 大学院研究奨励賞(2012年3月)を受賞しました。

<講座旅行など>

南研では,毎年1回の講座旅行を学生が企画して,学生間の親睦を深めています。昨年は小豆島に行ってきました(写真1)。最近は留学生の受入れ(米国,インドネシア,中国,マレーシアなど)も多く,学生は研究だけでなく色々な文化交流をしながら楽しく学んでいます。

<南先生の話題>

南教授の最近の話題では,国際溶接学会 IIWの第X委員会の委員長に就任し,活発な活動に取組んでいます。 また,韓国の朝鮮大学での招待講演(学生向け2回,スタッフ向け1回)を行い,積極的な交流を図っています。国内では,南教授が委員長として取り纏めた我が国初の「供用下の化学プラント・圧力設備の溶接補修規格」を2012年7月に4部作で発行しています。これは,WES規格のベストセラー1位〜4位を現在独占中です。
  • 日本溶接協会規格, WES 7700-1 : 2012, 圧力設備の溶接補修 第4部:外面当て板溶接補修, (2012).
  • 日本溶接協会規格, WES 7700-1 : 2012, 圧力設備の溶接補修 第3部:窓形溶接補修, (2012).
  • 日本溶接協会規格, WES 7700-1 : 2012, 圧力設備の溶接補修 第2部:きず除去と肉盛溶接補修, (2012).
  • 日本溶接協会規格, WES 7700-1 : 2012, 圧力設備の溶接補修 第1部:一般, (2012).

南研究室は2002年4月に誕生し,既に10年以上が経ちました。今後は数多くの卒業生を集めたOB会なども開催したいと考えています。

写真1 小豆島への学生講座旅行の様子