熱・振動複合環境下における疲労寿命評価


研究背景と目的


 近年,ECU(電子制御ユニット)の電子制御に始まり, カーナビゲーションシステム,ETC(料金自動収受システム), 車内外への受発信といったカーエレクトロニクス化はますます進み, それに伴って車載用電子機器は今後ますます増加する傾向にあります. その中で重要となるのが,自動車という使用環境に対する電子機器の信頼性であり, それが自動車全体の信頼性と安全性につながります. 車載用電子機器は,温度,振動,湿度など様々なストレスを受けます. その信頼性は環境試験を行うことで確認されていますが,一般的には個々の要因別に評価を行っています.
 現在我々は,故障の主要な要因である振動負荷と温度サイクル負荷を相互的に考慮した 寿命評価システムの構築を目的として研究を進めています.

研究内容

 試験用基板を有限要素モデル化し,シミュレーションを行っています(図2).

 図3は負荷が集中するパッケージ端部のはんだ接合部のひずみ分布です. 集中部での塑性ひずみやクリープひずみ量と破断寿命を比較して相関関係を得ることにより, シミュレーションから定量的に寿命を予測することができます.

将来展望

 はんだ接合部の塑性ひずみ,およびクリープひずみが複合環境での寿命に及ぼす影響度 を明らかにし,振動周波数や温度サイクル幅などの試験パラメータと寿命との相関関係 を明らかにすることで,将来的には最小限の信頼性試験を行うだけで車載用電子機器など の複合環境における信頼性を確保することができると思われます.
 これにより,製品の開発サイクルは短縮化され,信頼性の高い新しい製品が次々と開発 されると共に,消費者のニーズに合わせた多様な製品開発も進むものと考えられます.


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