ノベル・ジョイニング研究拠点│大阪大学大学院工学研究科 連携型融合研究組織(専攻横断的研究組織)

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背景と目的

 溶接技術は、自動車・船舶・鉄道車両などの輸送機器、電力・石油・化学プラントや建築・橋梁・パイプラインなどの社会インフラ、家電・エレクトロニクスなど、広範な分野で、ものづくりの基盤技術として広く利用されています。一般には、溶接プロセスは、材料局部に熱を集中させ、溶かしてつなぐ技術であり、溶接継手部は製品の一部となります。しかし、急速な加熱・冷却は、溶接部の強度や耐食性などを劣化させ、同時に変形や残留応力発生の原因にもなります。この溶接プロセスに内包する不完全性は、世界的にも共通の認識がなされ、ISO国際品質管理規格において「特殊工程」と位置づけられており、技術者・技能者の知識や技量、経験による施工管理に加えて、エックス線や超音波などによる非破壊検査を通して、継手の信頼性を確保しています。

 溶接施工技術の範囲には、継手品質の確保はもとより、溶接前後の材料調達から、曲げ・成形加工、機械加工、熱処理、仕上げの精度なども含まれるため、基幹産業の各分野においては、これまでノウハウや暗黙知を駆使しながら、製造工程全体にわたる品質レベルと生産性の向上に努めてきたと言えます。しかし、急速なグローバル化のなか、溶接施工に関わる人的、コスト的および時間的な負担は大きく、併せて、溶接専門技術者や熟練溶接技能者の不足も深刻な問題になりつつあります。今後、国際競争力を維持しながら、さらに新しい材料の出現や使用環境の過酷化などニーズの多様化に対しても、適切に対応できる技術力を養うためには、次世代につながる革新的な溶接技術の開発研究と、それを担う先端技術者の人材育成を行うことが不可欠となります。

 大阪大学 工学研究科 連携型融合研究組織(専攻横断的研究組織) ノベル・ジョイニング研究拠点は、1944年(昭和19年)の溶接工学科設置以来、世界の溶接のメッカとして連綿と受け継いできた知的財産をベースに、「特殊工程」とされている溶接プロセスの不完全性を克服し、設計・施工の時点で溶接部あるいは継手部の性能を保証するような、これまでにない革新的な−ノベル・ジョイニング技術を開発・実現することを目的としています。そして、従来の枠組みを超えた専攻横断的研究組織として、産学連携を含む先端的研究と高度技術プロフェッショナル教育を行い、当該技術分野でリーダーシップをとれる人材を育成します。