ノベル・ジョイニング研究拠点では、「特殊工程」とされている溶接プロセスの不完全性を克服し、設計・施工の時点で溶接部あるいは継手部の性能を保証するような、次世代溶接・接合技術の開発・実現のためには、まず暗黙知の多い複雑な溶接プロセスを定量化できるようにすることが必要だと考えています。そのために、最新の計測技術あるいは理論モデルを駆使してデジタル溶接を実現するための、シミュレーションベース溶接技術の確立に向けての活動を行っています。

　コンピュータ技術の著しい進展により、複雑な溶接現象や変形・残留応力の発生などをシミュレーションすることが可能な段階になってきています。しかし、現状では、それぞれの現象の個別モデルの完成度は高くなってきていますが、アーク現象から溶滴移行、溶融池流動現象、ビード形成現象、冷却・凝固現象、溶接部組織・変形までを統合して予測できるシミュレーションモデルの構築までには至っておらず、まだ本質的に溶接プロセスを理解できているとは言えません。そこで、統合モデルの開発に向けて、次に示すような項目を研究テーマとして進めています。

・溶接現象シミュレーションモデルの開発
・溶接変形・残留応力予測
・シミュレーションによる溶接部性能予測
・溶融池凝固現象の実験的解析とモデル解析
・熱力学等に基づいた高温物性値予測