概要Outline

生産科学の理念と目指すもの

「もの作り」から「もの創り」へ「ミクロ」から「マクロ」まで・・・
そして「個別の技術」から「総合エンジニアリング」へ

生産科学コースでは,科学的な基本原理に基づくアプローチによって豊かな未来社会を拓く「もの創り」に役立つプロセス・システムを構築することをめざし,多くのユニークな教育・研究プログラムを用意しています


「もの作り」から「もの創り」へ:
単なる「もの作り」でなく,豊かさ・利便性・環境との調和を考え,人類に幸福をもたらす「もの創り」を実現するための科学的な原理を探求しています。

「個別の技術」から「統合エンジニアリング」へ:
「モノの流れ」と「情報の流れ」を有機的に結びつけ,素材を活かす設計・加工,加工プロセスを考えた設計,設計に生きる加工といった「統合エンジニアリング」の立場から,新しい「もの創り」のできる能力を身につけた生産技術者を輩出します。

「ミクロ」から「マクロ」まで:
生産科学では,エレクトロニクス部品から航空宇宙機器まで,「ミクロ」から「マクロ」の領域にわたって幅広い対象を取り扱っています。

生産科学コースの特徴

インターンシップ制度
本コースのインターンシッププログラムは,大学院にクオーター制を導入することにより,授業履修との両立を図れるように配慮しています。 所定の授業単位を履修後,本インターンシップを修了した優秀な学生には当該イニシアティブプログラム認定証が授与されます。
毎年,多くの学生が2ヶ月間のインターンシップ研修に参加しています。

【実績】三菱電機,東芝,NEC,オムロン,パナソニック電工,富士電機 他

大学院高度副プログラム 「高度溶接技術者プログラム」

大学院高度副プログラム高度溶接技術者プログラム」は,ものづくり分野で必要とされている高度溶接技術者を育成します。 本プログラムを終了したのち,ものづくり分野で溶接・生産関連技術者として経験を積むとともに,より実際的な知識の習得に努めると,53ヶ国が加盟している国際溶接学会(IIW)から発行され,世界に通用する国際溶接技術者 (International Welding Engineer) IWEディプロマ資格の取得につながります。
また,修士の学位とIWEディプロマ資格の同時取得が可能なマテリアル生産科学専攻 生産科学コース 国際溶接学会(IIW)認定 国際溶接技術者(IWE)コースも用意し,高度専門職業人育成を推進しています。

この他にもEUの大学との交換学生プロジェクト,ノベルジョイニング研究拠点,など多くの特徴的なプログラムがあります。

沿革

昭和16年(1941年)
大阪帝国大学工学部冶金学科第五講座として熔接工学講座が設置される.
昭和19年(1944年)
冶金学科第五講座に新設一講座を加えて,熔接工学科発足,学生定員15名.
昭和21年(1946年)
熔接工学科第三講座設置,一部枚方学舎へ移転.
昭和22年(1947年)
熔接工学科第四講座設置.
大阪帝国大学工学部熔接工学科1期生13名卒業.
大阪帝国大学を大阪大学と改称,大阪大学工学部熔接工学科となる.
昭和24年(1949年)
新制大学発足.
昭和27年(1952年)
熔接工学科学生定員を35名に増員.
昭和28年(1953年)
新制大学第1期生熔接工学科13名卒業.
新制大学院設置.
昭和35年(1960年)
工学部共通講座として超高温工学講座を設置,熔接工学科に仮所属.
昭和36年(1961年)
熔接工学科を溶接工学科と用字変更.
岡田實教授工学教員養成所初代所長に就任.
昭和37年(1962年)
創立15周年を記念した溶接本館が完成,移転.
岡田實教授工学部長に就任.
昭和38年(1963年)
溶接工学科の改組拡充を決定,講座名称を変更し,学生定員を50名に増員.
第一講座(溶接工学理論) → 第二講座(溶接冶金学)
第二講座(溶接方法・溶接機器)→ 第四講座(溶接機器工学)
第四講座(溶接材料・ガス溶接切断) → 第六講座(溶接材料学)
第三講座(溶接設計・施工法) → 第五講座(溶接設計工学)
昭和39年(1964年)
第一講座(溶接物理学),第三講座(溶接力学)設置.
昭和40年(1965年)
第七講座(溶接試験工学)設置.
昭和41年(1966年)
第八講座(溶接応用工学)設置,八講座体制確立.
岡田實教授大阪大学総長に就任.
大西巌教授工学部長事務代理に就任.
昭和43年(1968年)
大阪市内東野田(枚方学舎を含む)より吹田地区へ移転.
昭和44年(1969年)
大阪大学工学部付属溶接工学研究施設設置,溶接工学科に仮所属.
大西巌教授同施設長に就任.
昭和45年(1970年)
大西巌教授工学部長事務取扱に就任.
昭和47年(1972年)
大阪大学工学部付属溶接工学研究施設をもとに大阪大学溶接工学研究所が発足.
昭和62年(1987年)
大阪大学工学部生産加工工学科へ名称変更,八講座体制維持.
旧第一講座 → 加工基礎学
旧第六講座 → 融体加工学
旧第二講座 → 固相加工学
旧第五講座 → 加工設計学
旧第四講座 → 生産加工プロセス・機器工学
旧第八講座 → 生産加工システム工学
旧第三講座 → 材料構造強度学
旧第七講座 → 信頼性評価工学
平成8年(1996年)
溶接工学研究所が接合科学研究所に名称変更.
平成9年(1997年)
大学院重点化により,機械工学科,産業機械工学科,電子制御機械工学科,
材料開発工学科,材料物性工学科と生産加工工学科が,応用理工学科として統合,
名称も生産加工工学科から応用理工学科生産科学科目に変更.
これにより,大学院は知能・機能創成工学専攻を含む7専攻に再編され,
名称も生産科学専攻と変更.

大講座制の導入により,八講座体制から四大講座八学問領域体制に移行.
・機能化設計学講座
構造知能化設計学領域(←信頼性評価工学)
構造化強度学領域(←材料構造強度学)
・知的プロセシング工学講座
複合機能化プロセス工学領域(←融体加工学)
材料接合プロセス工学領域(←固相加工学)
・知的システム工学講座
知的加工システム工学領域(←加工基礎学)
微細システム工学領域(←生産加工プロセス・機器工学)
・高機能システム工学講座 
高機能材料評価システム工学領域(←加工設計学)
統合生産設計システム工学領域(←生産加工システム工学)

接合科学研究所の五講座(溶接・接合機構学,プラズマプロセス工学,ビーム加工
システム工学,加工数理システム工学.耐環境表面改質システム)が協力講座となる.
平成12年(2000年)
大阪大学先端科学技術共同研究センター改組.
仲田周次教授同センター長に就任.
大阪大学先端科学技術共同研究センターシステム統合設計学講座が協力講座に
生産科学~知的生産を目指して(大阪大学 生産科学専攻編)共立出版より出版.詳細
平成15年(2003年)
付属超高温理工学研究施設が原子分子イオン制御理工学センターに名称変更.
同エネルギー形態制御分野、同プラズマ粒子技術分野が協力講座に.
大阪大学先端科学技術共同研究センターエコデザイン生産接合プロセス工学講
 座が協力講座に.
平成16年(2004年)
豊田政男教授工学研究科長・工学部長に就任.
大阪大学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻発足.
同テクノロジーデザイン講座が協力講座に.
平成17年(2005年)
大学院工学研究科再編によりマテリアル生産科学専攻発足.
 
「生産科学~知的生産を目指して」(大阪大学 生産科学専攻編)
共立出版より出版(A5・304ページ・4500円)
書籍表紙

本専攻のほぼ全教官が執筆に携わった「生産科学~知的生産を目指して」が
共立出版社より2000年11月に出版されました。

我々のモノ作りに対する考え方や将来の目標・展望、最新の研究成果などが盛
りだくさんに網羅されています。是非、我々のフィロソフィーをご堪能下さい。
目次は以下の通りです。
             
1章 生産を科学する
1.1 はじめに
1.2 モノつくりの工学とそれを支える生産科学
1.3 本書の構成
 
2章 材料の知的構造化
2.1 材料の知的構造化とは
2.2 新しい材料をつくる
2.3 材料の表面を機能化する - 材料の知的複合化
2.4 つなぎが活きる構造化 - 先端材料の知的構造化
 
3章 構造化を支える知的設計・評価
3.1 知的設計と評価 - 構造が生きる設計・施工
3.2 変形と強さを知る - 構造化のための評価力学
3.3 壊れることの強さを考える - 破壊力学とそれを活かす
3.4 知的設計とは - 設計の知能化を探る
 
4章 知的システムと新たなる世界の展開
4.1 自律・適応する高機能・高集積システム - 知的システムの科学を探求する
4.2 微細システムをつくる
4.3 高機能・適応型知的システムをつくる
4.4 知的システムの新たなる展開
 
5章 製品生産システムを支える知的高機能技術
5.1 高機能技術
5.2 シミュレーションでわかるモノづくり
5.3 構造信頼性を支えるもの
5.4 人の高機能を活かした生産システム