Research
半導体デバイスにおける新接合技術開発
従来のはんだ付けに加えて,新たな接合プロセスの研究開発を行っています.例えば,金属ナノ粒子の表面エネルギーを利用した焼結接合,微細孔に作用する毛細管圧力を駆動力とした液相浸透接合,通電支援による異材接合界面形成など,物理的にはアクセスが難しいマイクロ接合部にアクセスするプロセスが対象です.次世代のエレクトロニクス接合技術の開発に加え,その学術的知見に基づいた新たな応用手法に関する研究を進めています.
- ポーラス構造活用自発的液相浸透接合
次世代パワー半導体はEVの高効率化に不可欠であり、SiCチップ/基板間ダイボンドは性能を決定する重要な要素です。銀ナノ粒子接合のように,高強度・耐熱性を示す優れた接合法も研究が進められていますが、次世代ダイボンドには微細組織の設計自由度の拡張が求められています.本研究室では,液相拡散接合(TLP)接合を拡張し,多孔質インサート層内を低融点金属が毛細管圧力を駆動力として浸透する液相浸透接合を開発しました.たとえば,多孔質銅をインサート層,錫を浸透材とすることで,(Cu+Cu3Sn)ネットワーク組織を有する接合層が得られ,120W/mK以上の熱伝導率を実現しています.
- 金属ナノ粒子焼結接合プロセスならびに前駆体還元反応を用いた接合中ナノ粒子生成接合技術の開発
金属ナノ粒子や多様な形態のマイクロ粒子を用いた微粒子焼結接合に関する研究を進めています.加えて,金属前駆体(酸化物,錯体等)と有機溶剤の酸化還元反応(Polyol法)の活用によって接合過程でナノ粒子を生成するプロセスの研究開発を進めています.
<前駆体還元ナノ粒子焼結接合プロセス>
金属前駆体(酸化物,錯体等)と有機溶剤の酸化還元反応(Polyol法)の活用によって接合過程でナノ粒子が生成され,その高い焼結駆動力によって低温接合が実現されます.
<金属-金属接合から金属-非金属接合への展開 還元反応を用いることで様々な金属材料の接合を行うことが可能です.さらに,従来の銀ナノ粒子接合は基本的に金属同士の接合に限定されます.これに対して当研究室の手法ではシリコン,窒化ケイ素,アルミナなど様々な非金属材料にも接合することが可能です.その理由は酸化銀還元時にナノレベルに生じる界面反応に由来します. br> 関連論文:Scientific Reports 8, 10472 (2018), J. Electron. Mater. 47, 5780 (2018), J. Electron. Mater. 47, 2193 (2018). Materials Science & Engineering A 702, 398 (2017), J. Electron. Mater. 46, 4326 (2017), スマートプロセス学会誌 8, 177 (2019), スマートプロセス学会誌 6, 132 (2017). br>

<通電支援低温接合技術の開発> br> 還元反応を用いた接合では,界面近傍における金属イオンの析出過程が重要な役割を担います.我々は通電時の電場によって,イオンマイグレーション過程,そして電気分解と同様の酸化還元反応過程を積極的に引き起こすことで高効率な界面接合を実現する通電支援焼結接合技術を開発しました.同プロセスによって,室温雰囲気での接合も可能となっています.
関連論文:Materials & Design, 252, 113780 (2025). [解説]電界支援イオン輸送を用いたSiC半導体/銀低温焼結接合,月刊マテリアルステージ(MATERIAL STAGE), 25(3), 13-18 (2025),[特許] 特願2024-006878(日本)

<無加圧・低加圧銅焼結接合技術>
徐酸化制御されたCuナノ粒子を用いることで無加圧・低加圧での低温焼結接合技術を新規に開発しました.接合機構を解明するとともに,接合過程あるいは接合後に課題となる耐酸化性を獲得するための材料・プロセス制御指針の導出を行っています.
関連論文:Journal of Materials Science: Materials in Electronics, Vol.32, 19031-19041 (2021), Journal of Electronic Materials, 51, 1-7 (2022), Journal of Materials Science: Materials in Electronics, 36, 291 (2025), Journal of Materials Science, 60, 19236?19248 (2025). [特許] 特開2021-025106,特開2021-025107(日本)

- 自己組織化実装技術
エリアアレイ状に銅ランドを形成したデバイスと基板との間に,ソルダフィラーを含有した熱硬化性樹脂を挿入することによって,対向ランド間に導通路を自己組織化可能な実装技術を開発してきました.本手法により,導電性接着剤と同様の設備を用いて低コストに,ソルダバンプ実装法と同様の高信頼性な導通路を形成できる可能性があります.

- 新規マイクロ接合プロセスの開発
次世代パワーモジュールに適用可能なマイクロ接合法の研究開発を行っています.従来の接合プロセスから一歩踏み出した独自のアイデアに基づくプロセスを提案し,高耐熱・高信頼な接合部を獲得しています.
関連論文:Materials & Design 160, 475 (2018), Applied Science 9, 157 (2019), Journal of Electric Materials 48, 3699 (2019), Applied Sciences 9, 3476 (2019), IEEE Transaction on Components, Packaging and Manufacturing Technology, 9, 2111(2019)

Novel solder-metallic mesh composite design.
大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 生産科学コース
システムインテグレーション講座 プロセスインテグレーション領域 福本研究室